バンザン社長に聞く、オンライン家庭教師に挑む理由【オンライン化の歴史編】

こんにちは。メガスタプラス編集部です。今回はオンライン家庭教師サービス「メガスタディオンライン」を展開する株式会社バンザンの山田博史社長に取材。オンライン家庭教師の挑む理由をじっくり聞きました。熱くて厚い内容になったので、全部で3回に分けてお届けします。初回となる今回のテーマは「家庭教師がオンライン化した経緯」です。

顧客視点の教育サービス。
それが家庭教師だった。

—編集部：知らない読者も多いと思うので、まずはバンザンってどういう会社なのか、説明をお願いします。

山田：ざっくりいうと家庭教師事業の会社だよね。一橋セイシン会、メガスタディのふたつのサービスで、主に家庭教師事業を展開している。それと、メガスタディオンラインというオンライン家庭教師サービスも手がけている。今回の取材のテーマは、後者のオンラインの方だよね？

—編集部：そうです。どうしてオンライン家庭教師というサービスにたどり着いたのか、まずはその経緯から知りたいです。

山田：どうして家庭講師をメイン事業に選んだのか。これは簡単な理由で、予備校や塾はやりたくなかったんだ。学校もそうだけど、予備校や塾は集合型授業だから、どうしても個別に最適化できない。その子に合っているかどうかわからない教育を受けるのは、時間のロスともいえる。しかもそこでの教育は優秀な子にフォーカスしがちで、出遅れた子は見放されてしまう。そうではなく、時間の無駄なく個別に最適化された、子どもの可能性を信じる教育。それこそが家庭教師だったんだね。

—編集部：それがどうしてオンラインになったんですか？

山田：ところが家庭教師にも時間のロスはあったんだよね。家庭教師の移動時間もそうだし、訪問型だから、お互いの予定調整もある。学ぶ時間を選ぶ自由度はどうしても少なくなってしまう。これはもったいない。

—編集部：なるほど、それはオンラインで解決できますね。

山田：そう。それもひとつの理由だけど、もっと大きかったのが、親御さんの経済的負担を減らしたいという思いなんだ。そう強く思うようになった、印象的な出来事があってね。

忘れられない、かずおくんの涙。
オンライン教育構想の原点。

—編集部：聞かせてください。

山田：20数年前のこと。家庭教師サービスで出会った、かずおくん。私立中学を受験するんだけど、学力の現状は厳しかった。週1回の学生家庭教師の指導では、間違いなく遅れを取り戻せないし受験までに間に合わない。でも家計が苦しいから、プロの家庭教師は頼めない。僕は無念を飲みこんで、週1回、学生家庭教師が指導する、という内容で契約をいただいた。
結果、受験は失敗。かずおくんは、涙をポロポロ。ちいさな肩が震えていた。僕の胸にはモヤモヤが残った。ベストな指導環境を提供したいけど、お金が合格の前に立ちふさがる、大きな壁になってしまう。このジレンマを解消するのが、オンライン家庭教師だったんだ。

—編集部：移動の無駄を減らし、学ぶ時間帯選択の自由度を増やし、なおかつ教育費という負担を軽くする。より安く効率的にプロの指導を提供する、ということですね。

山田：そうなんだ。経済格差で不合格になってしまう子を減らしたかった。しかもオンライン家庭教師で減らせる格差は、経済格差だけじゃない。地方は塾がどんどん減っている。地元の国公立志向が強く、都会の有名私立の指導ノウハウも受験情報も薄い。いい塾や指導者に恵まれない地域にも、オンラインで都会と変わらないプロ講師の指導を届けることで、地域格差を減らせる。地方では首都圏の私立の受験ノウハウがオフラインで流通していないという、情報格差をなくすことができるのも、オンライン学習の強みだね。

訪問型に負けない学習効果を、
テクノロジーが実現した。

—編集部：全国に格差のないフェアなサービスを。そう考えると家庭教師のオンライン化は必然ですね。

山田：だから構想は以前からあったんだけど、残念ながらテクノロジーがついてこなかった。対面型と変わりがないくらいの映像と音声を実現するツールが揃い、事業を開始したのが2018年のこと。表情を映すPC内蔵のWebカメラにくわえて、お互いの手元を映す書画カメラ。このおかげで講師は生徒のノートを、生徒は講師の板書がリアルタイムで見えるようになった。生徒がどこでつまずいているのか、書画カメラを通して手元を見れば、すぐにわかる。さらに会話をクリアにするヘッドセットもあわせることで、訪問型となんら変わらない学習効果を実現した。家庭に気づかいしながら訪問し訪問される、という心理的なストレスもなくなり、リラックスしてジャージで受講できるから、訪問型以上の学習効果が得られる。
20年以上続く家庭教師事業で学んだ難点を解消するため、ついにオンライン家庭教師サービスをスタートすることができたんだ。

—編集部：やっとここまでたどり着いた、という感慨ですね。それでは今度は、オンライン家庭教師のサービスの中身について深く聞いていきたいと思います。