教育現場インタビュー#2【後編】 コロナを受けて教育はどう変わる?—インフィニティ国際学院大谷学長に聞く。
2020.11.4
未来の教室ビジョン『学習者中心の学び』 座長代理インタビュー1 ~デジタル化を教育へ~
- 「未来の教室」とEdtech研究会 座長代理、デジタルハリウッド大学大学院教授 佐藤教授が出演されている、「未来の教室」ビジョンについての動画を拝見し、これから必要とされる教育のカタチに関して、お話を伺いました。
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令和元年 6月25日発表の「未来の教室」ビジョン動画
https://www.learning-innovation.go.jp/news/vision-2019/
・「未来の教室」とは?
・「未来の教室」ビジョンの位置づけ
・学びのSTEAM化
・学びの自立化・個別最適化
・新しい学びの環境作り
・今後の「未来の教室」に期待すること
経済産業省HP 【「未来の教室」とEdTech研究会-第2次提言】https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/20190625_report.html
― 「未来の教室」ではどんなことを取り組まれたのですか?
未来の教室はすでに2017年に立ち上げられ、第一次提言・第二次提言を出し終わり、いったん現在役割は終えた段階です。今後は分科会で進めていく可能性もありますし、具体的に動き出しているGIGAスクール構想を始め、その他のSTEAM化や個別最適化も進めていく必要があります。「未来の教室」で私は、座長代理という立場で関わり、第一次提言・第二次提言を作ってきました。
「未来の教室」は経済産業省が取り組んでいる政策の一環です。学校教育に関しては文科省が所管しています。義務教育や高等教育を終えて社会人なってからも、教育機関に戻って学ぶことができる教育のシステム「リカレント教育」や民間教育を見ているのが経済産業省ですね。大人の教育を所管しています。そのように定義づけているものの、この国の大きな課題としてイノベーションがなかなか生まれないという課題がありました。提言を打ち出すにあたり、変化する時代に対応できる知識の習得は大人にも必要なのですが、もっと若い時期からの教育について見直しをする必要があるのではないかと、学校を前提としない「あるべき姿」について、深く検討がが行われました。
― 教育は「国の礎」と言われていますね。教育と言えば「学校で、授業を受ける」というイメージです。
とは言え、長い間、教育という制度をこれまで運用したり、保守したりしてきた省庁が文科省ですから、いきなり「デジタル化」と言われても対応できることばかりではなく、もう少し議論が必要だとか、早急過ぎるとか、色んな準備やステップも必要なので、意見を洗い出している所、と言ったところですね。
GIGAスクール構想では、一人一台のデバイスが配布され、それを活用した学習が行われる予定です。クラウド環境も整える必要がありますね。学校だけではなく、家庭のインターネット環境整えるところも省庁が行うと言っています。使い方については、その後のフェーズですね。活用するという事を考える必要があります。
ただ、配布する、使うというルールだけではダメで、我々人間自身が変わらないといけないんですよ。実は「教育はこういうものだ」というような人間の既成概念が一番変わりづらいんです。私たちは自らそれを理解しながら、自己改革をしていくことが必要です。制度や仕組みは、トップダウンで変えますが、当然、慎重派・反対派もいます。これまでの成功体験に縛られすぎてしまっているのでは?という感覚もあるのですが、全体的に見れば教育改革の向かっている方向は合っていると思っています。
― デジタル化を取り入れる事によって、先生の在り方や学校はどんな風になると思いますか?
そもそも、学習者がいなかったら、教育って存在しないんじゃないかなと思うんですよ。だから学習者のために教育があるべきなんです。これから将来に向かって学習者の学ぶ環境がどうあるべきかを考えてみてください。テクノロジーを使わない生活などあり得ないんです。「学習者のための教育」を考えれば、結果、テクノロジーを活用するのが当然なんです。
学習者を成長させるのが「教育」だとしたら、それを支える人が先生であり、教員だと思います。だから教員も学習者の変化によって変化しなければなりません。教員が変わらずに学習者が合わせなければならないのであれば、先生は不要になりますよね。私は先生という存在を「教育の一部」だと考えています。
ただ、現実には先にルールを変える必要があります。先生は公務員であったり、教員という職業であって、ルールや仕組みが決められています。それに従って教育を行わなければいけないという所がありますよね。実際に変えようと取り組んでいる教員もいます。しかし、ルールを超えて進めることは出来ないといったような状況になってしまっています。だから学校教育に関しては、先に仕組みから変える必要がありますね。学習者の環境が大きく変わるんですから、それを支える教育の仕組みも変わらなければなりません。
― 実際にデバイスを配布して授業をした取り組みではどんな変化が見られたのですか?
まずは先生の変容です。上手に取り込めている人もいます。コロナ禍でも学びは止まらなかったわけですから。どう使うかで良し悪しが決まるということですね。先生たちにも、得意な人と苦手な人がいますからテクノロジーを活用する教育が必要だと思います。
子どもたちは、大人が思っている以上にデバイスをすぐ使えるようになります。大人は「やってはいけないこと」にフォーカスして、危険だとか制限とか言いがちですが、テクノロジーを使う事を止めるという未来はあり得ません。だから、本当に伝えるべきことは、どういう仕組みになっているのか?という事だと思います。インターネットにつながれば、危険やリスクがあるのは当然だけれど、それを使ってどんなことが出来るのかという面にフォーカスして伝えていくことの方が大事なんです。
どうやって自分たちがテクノロジーを使って幸せになるか?ということが肝心で、どんな問題解決につなげることができるか、つながるかを考える方が大切ですよね。危険性ばかりにフォーカスして、あれはダメ、これはダメと言っているうちに「そんなに危ないんだったら、使わない方がいい」という事になってしまいます。危険なことをやってしまうことがある、としても「何故やってはいけないか」、仕組みを理解することが大切ですよね。進化していくテクノロジーを上手に取り入れることで、自分や社会にどんな幸せに繋げられるかを考える思考自体がリテラシーだと思っています。
― デジタル化、AI化で教育におけるコミュニケーションはどう影響しますか?
私はハイブリッドという言い方しているのですが、デジタルで出来るところはデジタルで、対面でやることは対面でやる、という事かなと思っています。良くある話では、AIか人間かみたいな極論の話になりすぎているのではないでしょうか。人を評価することはAIだけでは出来ないと思っているんですよ。最終的には人間が成長を見届けることが必要です。もちろん、オンライン会議の機能だって使えるわけですから、それらを活用して人間が判断する事も可能ですよね。
これから、そういったデジタルと対面を組み合わせたハイブリッドな支援がすごく増えていくでしょうね。学校が無くなることはありません。そして先生が不要になることもありません。評価は人間がする、それは必要なことなんです。ただ先生だって、経験や習得度が異なるわけで、人間だったら誰だってミスも起こすし、思い込みってことだってある。そういうものに子供を巻き込んではなりません。それを回避するには複数の人で評価するという事が必要になってくると思います。企業でも取り入れられているような多面評価のイメージですね。まだその段階には全然辿り着いていませんが、対面とデジタルの活用をどんなバランスで取り入れる事が効果的か、これから私たちは本気で議論していかないといけないですね。
― 対面でのコミュニケーションの価値、成長を見届けるというお話しも含め、デジタル化が必要である理由について、考えさせられました。インターネットを始め、技術革新はどんどん進みますし、その社会を担う子どもの教育にデジタル化を取り入れていくことの必要性を改めて感じますね。
今回のインタビュー内容は、「未来の教室」が取り組んでいる内容を中心に「デジタル化を教育へ」をお伝えしました。
オンライン家庭教師のメガスタが「未来の教室」で取り上げられました
https://www.learning-innovation.go.jp/db/ed0095/
2019年8月 サービス名称は「オンライン家庭教師のメガスタ」に変わりました
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令和元年 6月25日発表の「未来の教室」ビジョン動画
https://www.learning-innovation.go.jp/news/vision-2019/
・「未来の教室」とは?
・「未来の教室」ビジョンの位置づけ
・学びのSTEAM化
・学びの自立化・個別最適化
・新しい学びの環境作り
・今後の「未来の教室」に期待すること
経済産業省HP 【「未来の教室」とEdTech研究会-第2次提言】 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/20190625_report.html
メガスタプラス編集部