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教えて!先生!

2021.5.5

#大学研究家 山内氏に聞く。自分らしい真価のある、志望大学のえらび方は?

こんにちは、メガスタプラス編集部です。

「全国の大学に行った男」大学研究家の山内太地先生に、これまでの大学受験に関する環境の変化と、これからの受験生に向けたアドバイスについてお伺いしました!

▼山内太地先生が毎回熱弁!YouTubeチャンネルはこちら「メガスタ進路支援室」https://www.youtube.com/channel/UCqY97uSudcpnexYoCc5N8xA

山内太地先生 プロフィール
1.3万人の登録数を持つYouTubeチャンネル「メガスタ進路支援室」で大学受験情報を配信。ライター・大学研究家。1978年岐阜県中津川市生まれ。岐立中津高校を経て東洋大学社会学部社会学科卒業。大学在学中にマスプロ教育に疑問を持ち、他大学に関心を持つようになる。四七都道府県、九か国、及び三地域の847大学、1126キャンパスを見学し、日本国内の四年制大学773校(2009年度現在)はすべて訪問。著書に『下流大学に入ろう!』『時間と学費をムダにしない大学選び 進路図鑑2011』(いずれも光文社)など。

「大学研究家」が語る
大学の在り方、学習方法の変化。
昔の授業が「睡眠学習」型!?


―編集部 山内さんが大学の専門家になったきっかけを教えてください。
全国には800校ほどの大学がありますが、はじめから全部行こうと思っていたわけではなく、自分自身が大学1年生のころ、1996年他のキャンパスを見学に行ったら「学食がおいしい」「緑がいっぱいある」「面白い友達がいる」など、「実際に見に行くのは」とても面白いと感じて、それ以降、日本中、世界の大学も見て回るようになりました。初めて行った他大学は学習院大学で、東京都内にあるにもかかわらずとても緑がたくさんあり、馬が走っていたり、とても気品を感じましたね。そして、それら見に行った情報を文章や動画で伝える仕事をしています。

―編集部 山内さんは、どのような方法で情報を提供・発信しているのですか?
現在、YouTubeのメガスタ進路支援室で日々動画を配信させて頂いておりますが、それを見て「そうなんだ」だけではなく、その情報を得た上でほかの情報もあるのではないかと考えていただきたいと思っています。ただ情報を得るだけではなくて、その情報を自分なりにアレンジして、自分なりの進路を探して欲しいと思います。私へのご質問は、メールを頂ければお答えいたします。


私は情報を「人に合う」「インターネット」この2つで収集しています。収集した情報をアウトプットするというのは、情報を定着させることが出来ますので、ブログ、twitter、Facebook等のSNS更にはYouTubeで動画で発信をするということをしています。動画で発信をするというのは、私が持っている情報を皆さんに提供するということだけではなく、私の頭の中にあるものをアウトプットすることで私自身が私の頭の中に定着させるという学習効果もあるんですね。私にとっては動画の配信には学習効果があるんです。

―編集部 この20年間、大学を取り巻く教育環境には、どのような変化が起きていますか?
20年前の大学は、先生がしゃべってみんなが寝るみたいな睡眠学習のような授業が、有名大学でもいっぱいあったんです。でも今はアクティブラーニングやPBL(Project Based Learning)のような、生徒自身が調べて発表すると言ったような双方向型の授業が増えてきまして、大学の講義の在り方もずいぶん変わってきたなと感じています。合格する生徒が増えて注目されている高校や、昔ながらの偏差値だけではなくてブランドや評価が上がってきた大学、昔に比べると元気がないなと言われる大学もあって、変動が激しいように思います。入試改革や就職、学習支援の面でも、文部科学省を中心に大学教育を改革していこうという動きもあり、海外の教育と厳しく競い合おうという動きが出てきていますね。世界大学ランキングなども話題になっていますが、日本の大学も世界に遅れないように改善が必要な面は改善しなければいけない、ということで、国主体となり大学も合わせて動いているという感じですね。

それらの変化で学生の在り方も変わってきたと思います。20年前は、大学はレジャーランドと言われていました。高校までは大学受験で勉強が大変だったから大学に入ったら遊んでいいよという様子だったのは遠い昔の話で、今の大学生は大学の授業に一生懸命取り組んでいて、昔のような様子の大学の様子はとっくになくなりました。

コロナの影響で進学エリアに壁!?
進学は「地元」トレンド、
就職は「首都圏」一極集中変わらず




―編集部 学校教育や、進学の情報や学習環境について地方と首都圏の情報の差は感じますか?
地方と首都圏では、進学や情報にかなり差があると言えます。東京の皆さんは、有名な私立大学のランク順に希望を出していくということをしますが、地方の場合は、自分の住まいから通える距離にある国公立大学に入るということが一番重要なんですね。地方の人が東京の大学に行くということも減っているし、首都圏の人が地方の大学に行くというのも、とても少ない。自分の生まれた県で行く大学がだいたい決まってしまうという傾向です。コロナの影響もあり、首都圏に行くのが不安ということもありますし、保護者の方が経済的な負担の面で難しくなっている面もあります。子どもが東京の大学に進学して一人暮らしさせると、最初の一年でかかる生活費は年間300万円と言われているんですね。なかなか出せない。だから家から通える地元の大学に行ってほしい、という傾向は強まっていると思われます。

反面、就職に関して言えば、有名企業や大企業に入ろうと思った場合、ほとんどの場合は正直なところほぼ東京に集中しています。関西であっても、国公立大学や有名私大の学生が就職するのは東京に本社がある会社が中心ですね。地元の場合も、各地方で就職することも可能ですが、気を付けないと公務員や教員、地元を代表するインフラ系の会社という選択肢しかなくなりがちです。就職は東京に一極集中してしまっており、地方の学生も就活では飛行機や夜行バスで東京に来るというのが現状です。

―編集部 これからの社会ではデジタル化に対応できる人材が重宝されていくと言われていますが、中学生・高校生に対して、理系に含まれる数学的要素の履修について、アドバイスを頂けますか?
デジタル化されたことで、数学が必要になってきていると言われていますが、現状大きくは高校で文系と理系に分かれていて、文系を選ぶ生徒の方がはるかに多いんですね。これはやはり私立大学に文系学部が非常に多いということ、また、先生の数の問題もあって、みんなが理系に行くというのも現実的ではありません。理系を選ぶ人はいいですが、文系を選ぶ人へのアドバイスとして、受験科目に無いからと言って、理科や数学をやらなくていいということはありませんので、何かの形で数理の知識や学習と言ったものは何かの形で履修していった方が、これからの時代の就職という面では役に立つと思いますね。

大学研究家からのアドバイス
知名度だけで考えない
実際に足を運んで見てみよう




―編集部 高校の先生は、どのような情報を必要としていますか?
インターネットが普及して、情報はあふれていると我々は思いがちですが、実際にはそうではなくて、昔ながらのみんなが行く大学を目指すということが主流になってしまっており、聞いたことのない他県の大学に行きたいという受験生はとても少なくて、行ける人は自分で探せる人なんですね。高校の先生が勧める大学も自分たちが出た地域の国立大学の教育学部や知名度のある私立大学に受験生は集中してしまいがちです。でも今までの伝統大学だけを進路にしていたら、入った高校のランクで入れる大学がだいたい決まってしまうんですね。これだと面白くないという人だっているはずなので、今までみんなが行きたいと言っていた有名大学だけにとらわれず、ほかの地方の同じような勉強ができる大学とか、最近の教育改革で話題になっている面白い大学は新しいことができるのではないかと、地方の方はぜひアンテナを張っていただいて、関心を持つということが重要になってくると思います。

―編集部 受験生や保護者の方は、どのような情報を必要としていますか?
公式サイトやホームページというのは間違いではありませんが、キレイな情報というか、広告の要素が強いというか。とは言え、ネットに書いてある匿名の悪口はアテになりません。真偽も不明ですし、入った大学が不満な人が書いた悪口が参考になるでしょうか。中には耳を貸すべき情報があるのも事実ですが、それを鵜呑みにしてしまうのも、悪口を書かれている大学だから行かないというのもおかしな話だと思います。こんな時代ですが、ネットに頼り切らず、本当に関心のある大学には、保護者も先生も受験生本人もなんとか直接足を運んでいただきたいですね。コロナ禍でも少人数の見学であれば出来る大学はたくさんありますから、やっぱりパンフレットを見て予習して、大学に足を運ぶという昔ながらのやり方は必要だと思います。

―編集部 大学進学に向けた高校3年間の受験対策、過ごし方についてアドバイスお願いします!
いわゆる、受験勉強はこうやってやりましょう!という情報は、塾や予備校の先生、学校の先生や動画でも、多くの人が発信しています。私の場合はあえて「将来の進路」のことについて高校3年間でしっかり考えて欲しいんですね。みんなが行くから有名な大学に行くという選択だけではなくて、自分自身がどんな学問を学びたいのか、研究したいのか、こんな先生の元で学びたいとか。これを勉強して私だったら世の中をこんな風に変えられるといったように、今度は社会に還元していくということですね。その為には、研究機関である大学のことをよく調べて「自分はこんな研究をする人間になりたい」という希望を持ちながら将来の進路を考えていただくという時間を持っていただきたいと思います。

―編集部 ありがとうございました。みなさん、いかがでしたか?これからの社会課題を解決する若い人材が、大学という研究機関を通じて社会で活躍するために必要な大学進学と捉えて、自分自身が取り組みたいことを実現するための大学進学選びが出来たらよいのですね。受験生の皆さんが後悔しない志望校進学が叶いますように、今後も情報発信、よろしくお願いいたします。
▼山内太地先生が毎回熱弁!YouTubeチャンネルはこちら「メガスタ進路支援室」https://www.youtube.com/channel/UCqY97uSudcpnexYoCc5N8xA

この記事の執筆者:
メガスタプラス編集部