知っておきたい AO推薦入試攻略シリーズVol.1「志望理由書編」
2021.6.9
目指せハイスペック人材!世界で活躍できるグローバル人材に必要な「国際的視野」とは?
こんにちは、メガスタプラス編集部です。
学校教育では、英語の4技能化が必要とされ学習指導要領の見直しや大学入試の見直しも検討されています。日本人は特に「英語が話せない」と言われます。日本の貿易依存度は低く、日本で作られた製品やサービスの多くは日本国内で消費されていました。そのため日本経済においては、英語を「話す」「書く」必要性にそれほど駆られていなかったのです。
国際的・グローバルという表現からは、英語でのコミュニケーションのことが連想されますが、「国際的視野」は英語が話せることだけで身に付くわけではありません。更に今後、海外の企業や国外の方とコミュニケーションを取る必要性がある中で、グローバル人材に求められる「国際的視野」について考えてみましょう。
世界の舞台で活躍!
文部科学省が定義する
ハイスペック「グローバル人材」
文部科学省はグローバル人材をこのように定義しています。
「世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間。」
多くの素養が含まれていますので、内容をひとつずつを分けてみます。
・日本人のアイデンティティ
・(グローバルな)広い視点に立つ
・(グローバルな)教養を付ける
・(グローバルな)専門性を高める
・異なる言語でコミュニケーションを取り関係性を保てる能力と協調性
・異なる文化を受け止め、コミュニケーションを取り関係性を保てる能力と協調性
・相互の利益について考えてコミュニケーションを取り関係性を保てる能力と協調性
・新しい価値を創造する能力
・次世代迄も視野に入れた社会貢献の意識を持つ
例えば、英語での会話(=英会話)は、このうちの「異なる言語でコミュニケーションを取り関係性を保てる能力と協調性」の部分のスキルですね。大学入試では外部試験を用いた4技能の評価が計画され、小学校でも英語授業の開始、学習開始はさらに低年齢化されていきそうです。入社試験でTOEFLなどの英語資格試験のスコアを求める企業も急増しているので、英語の学習に力を入れていくことでしょう。
教養や、一定の技能やスキルの専門性を高めることも同じで、プログラミングが出来るレベルにも技術に差があるように、専門性はどの分野でも高めることで評価が上がります。そして、プログラミングが出来て、英語でコミュニケーションが取れる、という複数のスキルが組み合わさることで、仕事の分野において諸外国の方とコミュニケーションが取れるようになるわけです。
異なる文化を受け止める
多様な価値観を受け止める
まずは、触れる機会が必要
そもそも、他国の人とのコミュニケーションを取ったことが無いという日本人も多くいるのではないでしょうか。多様な価値観や文化を受け入れるということについて、日本国内でも同じようなことがあるのではないかと思います。例えば大阪の人の習慣を、他県の人が理解できないことがある、というような例です。今では日本でも個人の価値観の多様性を認識するようになり、様々なライフスタイルや生き方を尊重する風潮が出てきましたが、それでも驚くような考え方に触れると日本人同士でも「受け入れづらい」と感じることがあるのではないでしょうか。自分とは違う価値観を持つ人に違和感を覚えやすく、逆に共通点が多い人には好感を頂きやすいなど、人は共感すると安心できるものです。
そもそも、異なるものを受け止めること、文化や宗教、国籍や育ちが違う人同士が、不慣れな言葉を用いたコミュニケーションで意思疎通を図り満足に理解しあうという前提自体、難易度が高いものなのです。では、多様な価値観を受け止めるにはどうしたら良いのでしょうか?
具体的には、他国籍の方がいるコミュニティで過ごす、会話する、コミュニケーションを取るということです。実際に機会を持って、その環境に触れること。出来れば、旅行でも観光でも視察でも、実際に諸外国に赴いて、現地の人とコミュニケーションを取ったり、また文化行事に参加したりすることで、日本とは異なる信条やライフスタイルが実在することが分かるのではないでしょうか。まず知ること、触れること、理解しようと努力すること、その上で受け止めることが出来れば、関係性の構築に役に立ちます。
新しい価値を創造する力
イノベーションを起こせる人
イノベーターの希少価値
新しい価値とは、皆が見過ごしてきたこと、発見できていなかった価値のことです。「新しい価値の創造」がイノベーションと言えます。0から1をつくりだす価値を発見する力であり、1を10にするのが価値を実現する力。この2つの能力がイノベーションを実現するために必要な力だと言えます。どんなにすばらしい「アイデア」も、実用化されなければ、その価値を社会に届けることが出来ません。「アイデア」をビジネス上で実現することは、人やモノや情報やお金等の様々なリソースを駆使し、ICTの技術を用い、マーケットのニーズを調べ、経済的生産性や継続性、また持続可能な社会を作る貢献的な側面を持つか等々を色々な課題があるものです。さらに「これまでになかった革新性」が伴えば、周囲へその価値について共感を持ってもらう活動も必要になり、次世代迄も視野に入れた社会貢献の意識を持つ」という、自分たちの世代を超えて貢献できるイノベーションとなれば、その価値は計り知れません。
もちろん、リソースの元が国内にあるものだけでなく、国外から調達することを視野に入れれば、必然的に語学力が必要となるということであり、英語力はその取り組みの前提にあるものと言えそうです。そもそもイノベーターと呼ばれる人は100人に1人か2人と言われ、国内事業やビジネスの中でも希少であり、英語力とは異なる能力です。ただし、国内にある、日本語で書かれた文献や情報だけでなく、論文や調査結果など原文にアクセス出来たり、翻訳されていない領域の情報を扱うことが出来たりすれば、国内のリソースだけで生み出すアイデアよりも、革新性が高まる可能性が格段に上がることは言うまでもなく、その人材の素養を身に付けるために英語力が必要だという理解をすることも出来ますね。
日本人のアイデンティティ
世界から見て、わかるもの
日本の文化、歴史を学ぶ意味
日本人のアイデンティティは日本人なら当然持っているもの、とも言えないように思います。アイデンティティとは´「これがほかならぬ自分なのだ」というまとまりをもった確信のことである(Wikipediaより)‘とされていますが、当たり前に「日本人として日本で生きている」状態だけで「これが日本人である」「これが日本である」と確信を持つというのは難しいことかもしれません。
例えば日本には四季があり、季節感を大事にする文化や、時期柄に合わせ旬の食材を楽しむことも日本人が好んでいることの一つです。華道や茶道、柔道、武道と言ったような「道」も日本的な文化として伝承されてきました。伝統的な技の上達のために師範や師匠から修行を積む「型」を大事にし、正しく基本の型を同じように再現できるよう身体が覚えるまで理屈抜きに繰り返し修練して体得することに価値を置いています。日本では、時間を守り、足並みを揃え、和を乱さないよう、同じように行動することが好まれ、調和を乱す人、人と同じように振る舞えない人は「ダメな人である」という教育の中で、そのように振る舞えない人は「個性的」ではなく、不適合者のような感覚を持たされてきた面が否めません。調和を大事にしてきたことで、日本人は時間に正確で、仕事に真面目、勤勉であると評価される点にも通じているように思います。
また、人と人との微妙な距離感を察する力も高いと言われます。日本人は「様子を伺う」「空気を読む」スキルに長けているのです。和の心を持つ、日本人のよさには「人を敬う心」があると言われており、相手が不快な思いをしないよう、あえて白黒はっきり表現せず控えめに下手に振ることが「謙虚な姿勢」として評価される面があります。その様子が「はっきり意志を表示しない」と諸外国の人から見れば不思議に思うことがあるようです。自分らしさを表現することが、自分勝手というニュアンスにも近い感覚が日本人にはあるのかもしれません。
日本人同士のコミュニケーションで終わるうちは、日本人のアイデンティティの意識は無くても、周囲との調和を図り、人を敬うことで成り立っていました。しかし、今後、多様な国籍の人たちとの対話や関係性の中で、意思疎通を図ることが必要になってきます。プレゼンテーションし、理解や共感を求める必要があるコミュニケーションの中では、はっきりと意志を主張するアクションが必要なのです。子どもの頃から、多様な国籍や人種が共存する環境で育っている子どもたちは、様々な考え方に触れて育っています。「私はこう思う」「こうしたい」と表現する必要性を知っているからこそ実践のコミュニケーションでずっとトレーニングしてきたような状況です。日本人の慎ましやかな感性では、伝わらないことがある、ということを私たちは受け止める必要がありますね。
まとめ
いかがでしたか。「日本人のアイデンティティを持って振る舞って欲しい」という点が盛り込まれているのは「日本」が国際競争力が低下している現状を受けて「日本を代表するリーダーに求めたい」ことを表しているように思います。今求められているスキルを並べれば「グローバル人材」とは、とてもハイスペックな人材なのです。英語でのコミュニケーションを取れることを前提していますが、日本語で行うにしてもハイスペックな人物像になります。「視野を広く持ち、教養と専門性を高め、社内外問わず、異業種・異職種・異世代とのコミュニケーションを図り、互いの利益を尊重し、次世代に残せる新しい創造を行える人材」、そのようなスキルのある人材は、どこでも活躍できそうですよね。
グローバルな人材育成のために、大学や学校教育も変化が始まっています。英語の4技能化、プログラミング教育、教育のデジタル化など新しい学びが取り入れられ始めたばかりです。何を学ぶのかも大事ですが「何を目的に学ぶのか」その点にも着目したいものです。語学力、ICT活用、イノベーション、社会代への取り組みなど、多くの素養を高めることが求められている中、国際的な視野を高めることは、海外を知ることであり、日本を知ることにもつながります。日本の今を知り、将来にわたり持続可能な社会の実現のため、国外の優秀な技術や人材と協力し、複雑な課題を解決していくために「広い視野を持つ」こと、教育にどう組み込んでいく必要があるか。私たち大人も、仕事の仕方、在り方、取り組むべきことを今一度考えて、進んでいきましょう。
メガスタプラス編集部は、今後も理想と現実の間で教育を考えるメディアとして情報をお届けしていきます。
この記事の執筆者:
メガスタプラス編集部
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