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教えて!先生!

2020.11.11

「やっかいな問題を、デザインで解決する」 東京理科大学「新設学科の学び」を訊く!

東京理科大学 新設学科インタビュー 2021年4月「経営学部 国際デザイン経営学科」着任予定の飯島先生、深見先生、八木澤先生にお話を伺いました。

これからの世の中の課題や問題。
解決策があるかも、わからない。
解も、ひとつではない「やっかいな問題」。

飯島先生: 不確実で先の見えない時代の、解決の難しい、正解のない問題に対し、デザイン人材が必要だと言われています。(2019年3月経済産業省が発表した「高度デザイン人材育成研究会ガイドライン」)例えば、地球温暖化や水問題など、グローバルな社会課題の解決に取り組むのにも、「こうしたらいい」という1つだけの正解や対策方法を導き出せないこともあるわけです。解決する方法が一つではない、解決する方法がないかもしれない、やっかいな問題と捉えています。

例えば、海洋プラスチック問題に対し、あるオランダの学生が太平洋に浮かぶ何千トンもの有害なプラスチックごみをすくい上げる画期的な計画(※)を考案して、取り組んだ事例があります。川にごみが溜まる場所があることを見つけ、そこでごみを回収する船を作り、回収しています。この問題に日本では、現在「レジ袋を有料化にする」という方法でごみの数を減らす対策を取っていますが、この学生が考えたのは「レジ袋を使うのは、そう簡単にやめることは出来ない。ごみを回収するほうが、生活者にとって利便性が高い。」そう、考えたのでしょうね。解決する方法が一つではないという事例です。
※NGO「オーシャン・クリーンアップ」による取り組み

自分の好きなことに
粘り強く取り組んで
ビジネスとして定着させる。

八木澤先生: 私のコンセプトは「世の中を救う前に、自分を救え。」なんです。学生には良く言ってます。自分を助けられないのに、世界は助けられないですよね。自分の好きなことしか、心から人に勧められないと思うんです。自分が好きなものをもっと好きになって欲しいし、自分自身をもっと好きになって欲しいというか、自分に自信を持って、自分の好きなことを追求して欲しいと思うんです。

これまでの教育では、一生懸命「インプット」することは学びましたが、それをどこで「アウトプット」するのかを教えてもらっていないように感じます。「アウトプットする為に、インプットしてきたんじゃないのか?」って思うんですけど、例えば、“就職すること自体”がアウトプットになってないか?と問いたいんです。就職は手段であって目的では無いと言いたいのです。そうではなく、それまで積み上げた、あなた自身の表現はそれ以外にもあるのではないか?「いい会社に就職すること」自体が「あなた自身」のアウトプットの“全て”ではないでしょう?と思うのです。だから、この学科ではより多く「アウトプットする」機会を設けて、「作る」「表現する」ことに取り組みます。失敗することも、恥をかくこともあるかもしれません。でも、経験を重ねることによって「自分の表現を追求してほしい」と思っています。

「面白くない」ってわかっている、すでに成立しているビジネスの中には、入り口から出口がしっかり繋がっていて、「こうなった方が面白いのに」と思っても、正しいから反論できずに、「まぁ、仕方ないか」って続いちゃっている仕事があるんですよね。「それ、こっちじゃない?こっちの方が、面白いよね」って思っても、責任を問われるのが面倒で言わなくなってしまったりします。でも今そんな、面白いところに繋げるところの仕事が実現させられる能力や人材が求められいるのではないでしょうか。最初は繋がっていない、その入り口から出口までをつなげる部分の仕事が、実はすごくクリエイティブなんです。それを実現するために、「一番求められる能力」って何かなと考えた時、「クリエイティブに辻褄を合わせる能力」なんじゃないかなって、私はそんな風に考えています。

知識と手法と技能と
異才を束ねる人材へ
協調性がある人材であれ

深見先生: 私の専門領域は「プラットフォーム戦略」と言えばいいかな。今はIoTが注目されていますが、例を出すと、LINEアプリでスタンプをWeChatに送ることはできないですよね。でも、送ることができたら便利じゃないですか?そんな風に、みんながバラバラでやっていることを協調できるように「ルールを作る」ことで、みんなが楽しく便利になって、更にお金が儲かる、そんな風にするにはどうすればいいのか?ということを研究しています。例えば、バスや電車の運賃支払い手段にある非接触ICや、スマホで簡単にサイトへのアクセス先を読み取れるQRコードという技術があります。非接触IC用端末は1台あたりが高価で、コミュニティバスなど、資金が潤沢ではないバス会社では、導入するとコストが見合わない。でも、もしそれがQRコードだったら?QRコードで支払えたら安く導入が出来る。その「QRコードで支払えるようにする」というのが「アイデア」なんです。お金をかける場所はどこか?誰がお金を払ってくれるのか?というポイントをひっくり返すと、新しいビジネスができてしまうことがあるんです。

みんなが持っているスマホも、数万円のデバイスを個人が買って、すでに多くの人が持っています。そのプラットフォームを活用して新しいビジネスができてしまうとも言えます。技術自体の開発も必要ですし、技術をどう使うかということも必要で、工学や経営学というような一つの学問だけではなく、求められていることを具体的に形にしていくこと、これもデザインだと思っています。

専門家も同じです。「異才を束ねる」人材が必要になってきます。例えば、専門家がいっぱいいたとしても、1つのものを作り出せるか?と言えば、うまくいかないことがあります。専門家同士、専門用語も違いますから。最終的にひとつの「解決策を導き出すため」に、「現代の先端的な知識や手法や技能」を組み合わせ、それぞれの専門家が「専門的なスキルや道具や理論や議論」を落とし込んでいくことで、解決策に繋げるというそのプロセスを、ハンドリングしていくことが必要なんです。各専門家から、必要な知識や理論を引き出して、デザインシンキングの手法で、具体的に導き出すというプロセス。それが丸ごと体験できる学科が今回新設されるIDM国際デザイン経営学科です。

プロジェクトマネジメントを学ぶ。
新設「国際デザイン経営学科」
高度デザイン人材が求められている。

飯島先生: プロセスをデザインする、企業経営をデザインするという「デザイン」には見た目だけではない「デザイン」の考え方が存在しますが、それらをカバーする人材を育成しようと考えています。私たちが今回新設した「国際デザイン経済学科」の「デザイン」の定義は「問題解決を支援する人工物を創りだす知的活動」と捉えています。人工物というのは、制度やサービスといった、人間が創るものすべてを指します。

これまでの経営学部においても「戦略・マーケティング・会計」を学べる環境があります。ただ、それらの知識だけでは、社会実装させることが困難になってきました。論理的思考だけではなく「解決のために何が必要か?」という共感と、「それをどう実現するか?」という論理をクロスさせて、やっかいな問題の解決に結びつける力が必要と考えていて、それを学べる学科として、「経営学部 国際デザイン学科」を新設しました。

▼東京理科大学 国際デザイン経営学科 コンセプト紹介はこちら
https://youtu.be/tjBqiilPTAQ

【東京理科大学】 2020年時点、日本の私立大学として唯一、ノーベル賞受賞者(2015年ノーベル生理学・医学賞の大村智)を輩出した大学として有名な東京理科大学、「THE世界大学ランキング2021」によると、「研究力」において、慶應義塾大学、早稲田大学に続いて、国内私立大学3位の評価を得ている。(wikipedhiaより抜粋)

- 編集部:ありがとうございました。「やっかいな問題」に対し、どんな人材が必要か、考えさせられました。新設学科にご興味ある方は、是非チェックしてください!これからの世の中に、大人である私たちにも求められる力だと感じました。しっかりキャッチアップしていきましょう!

この記事の執筆者:
メガスタプラス編集部