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2021.6.23
日本で最も歴史のある海外大学の魅力「テンプル大学ジャパンキャンパス」学長インタビュー!
こんにちは、メガスタプラス編集部です。
皆さんは日本にある海外の大学「テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)」をご存知でしょうか?2005年2月、文部科学省より「外国大学の日本校」として、初めて指定されたTUJは、1982年に設立され、アメリカの大学が誇る高い水準の教育を日本のキャンパスで受けられます。
アメリカ有数の規模と歴史を誇る、ペンシルベニア州立テンプル大学の日本校。日本でアメリカの大学の準学士号、学士号、修士号、博士号を取得できる唯一の大学です。授業の内容および取得する単位・学位も本校と同等。アメリカの大学制度に基づき、本校および他大学への編入も自由自在という、TUJのマシュー・ウィルソン学長に、大学の魅力についてお話を伺いました。本インタビューは日本語で行われました。
■マシュー・ウィルソン学長プロフィール
2020年 9 月 14 日付テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都世田谷区/以下、 TUJ )の新学長に、マシュー・ウィルソン 氏 が就任されました。同氏はTUJにてロースクール・ディレクター( 2003- 2005 年)ならびに上級副学長( 2004- 2009 年)を歴任し、 2014 年、アクロン大学ロースクール(米国オハイオ州)教授、学部長を経て、 2016 年同大学学長に就任。 2019 年からミズーリ・ウェスタン州立大学(米国ミズーリ州)学長を務めました。テンプル大学米国本校法科大学院の同窓生であり、 TUJへの留学経験もあります。 TUJ学長就任にあたり「母校のリーダーとして東京に戻れたことを大変嬉しく思っています」と抱負を語られています。
<ビデオメッセージ 新学長就任あいさつはこちら>―編集部:学長は、TUJに留学もされていらっしゃいますが、その大学の学長にご就任されたのは、どのような経緯がありましたか?
私は3歳くらいの頃から弁護士になりたくて、法律を学ぶために大学はアメリカのソルトレイクシティにあるユタ大学に入学しました。入学後、キリスト宣教師のボランティアに行くため大学を一時休学して、行ったボランティア先が北海道です。少しずつ日本のことを知って、日本の法律や歴史などを知っていき、興味が沸いたんですね。日本で国際弁護士になろうと思い、「どこの大学なら国際弁護士のための勉強が出来るか?」と調べたら、ペンシルベニア州のテンプル大学だったんです。そして、1997年にジャパンキャンパスに留学しました。「国際弁護士になった後、日本に戻って、ジャパンキャンパスで法律を教えたい」という気持ちになり、その想いを先生に直接伝えに行きました。「ここで教える仕事がしたいです。先生が辞める時、後任として声をかけてください。日本に来ます。」と。
結局、その先生の後任ではありませんでしたが、後任の後任として、2003年~2009年まで、TUJで働くことになりました。2009年の時点で副学長の立場にもなり、いずれ学長に就任できたらいいなと思ってもいたのですが、家族のこともあり、いったん別の大学に転職という形でアメリカに戻ることになりました。その後、ほかの大学の学長に就任などの経験を積みながら、心のどこかで「いつか日本に帰れればいいな」という気持ちがずっと残っていました。それくらい、このTUJで自分が学生として学んでいた時間、先生、学生同士、カリキュラム、日本の法律とアメリカの法律を同時に勉強できることなど、その環境が素晴らしかったんですね。いつか私が転職して日本に戻って、その素晴らしい体験をほかの学生も体験できるようにしたいと思っていました。そして昨年「TUJの学長に」というお話をいただき、安心した気持ちになりました。
―編集部:日本と縁がありますね。昔から日本に興味をお持ちだったのですか?キリスト教のボランティアを希望した時、紹介された行き先が日本だったわけですが、正直、日本に来る前は、日本に全く興味を持っていなかったんですよ。どちらかと言うと「日本の北海道という所に行ってください」と言われて、不安でしたね。まず、日本語が話せないこと。中学の時に3年くらいフランス語を勉強しても、数字を数える位しか話せるようにならなかった私が、難しいといわれる日本語を話すなんて無理だと思いました。その頃、日本のことを全然知らなかったので「日本では毎日ご飯を食べる習慣があるらしい!刺身や寿司のような生ものを食べるらしい!」と聞いて、そんなのは堪えられない!と思っていました。アメリカにもご飯はあるのですが、美味しくないんですよ。でも、実際に食べてみたら日本のご飯は美味しかったです。刺身も寿司も美味しくて、これだったらやっていける、と思いました。今では、時々アメリカに戻ってもアメリカの食事にすぐ飽きてしまって、食べ物は日本食を好んで食べるようになりましたね。
24時間eスポーツライブイベント
―編集部:米国フィラデルフィア本校とジャパンキャンパス共同で24時間のeスポーツイベントを開催されたとのこと、イベントはどのような主旨で開催されたのですか?
元々アクロン大学で学長をやっていた時に、eスポーツの業界が急成長していました。それに関連するビジネスも多く出てきたんですね。それで、大学で科目のひとつとして取り入れたらどうかと考えました。eスポーツはアメリカでも非常に人気があります。競争やゲームという側面だけではなく、医学的な観点もeスポーツの領域には取り入れられるんです。eスポーツの医学の協会ですね。現在でも私が作ったそのeスポーツの全国大会は続けられていて、4年間、毎年開催されています。次の大学へ転職した時も、eスポーツのクラブを作りました。単なる遊びではなく、eスポーツをビジネスの観点でとらえる取り組みです。TUJでも、eスポーツのクラブを作りたいと思っていて、最初の段階として、4月の24時間のイベントを本校と一緒に行うことにしました。本校とジャパンキャンパスの学生が中心となり、本校の先生にも入っていただき、学生自身が主体的にイベントの進行を任せました。17時間は本校が担当し、残り7時間はジャパンキャンパスに任せた構成で行いました。放送イベントとして観戦してくれる人からの寄付を募り、結果、30万円近い奨学金資金が集まりました。eスポーツ関連の奨学金を作っていきたいと思っています。イベントを通じて、学生自身はコミュニケーションスキルや放送スキル、イベントスキル、講評スキルなど、大変良い経験になったと思います。フィラデルフィアと東京の学生が協力して、ZOOMで打ち合わせする機会もありましたし、実際の放送イベントは学生の家族も視聴することが出来ましたので、きっと楽しんでもらえたのではないかと思います。今後は、TUJにeスポーツの専門のスペースを作ることを考えています。それが出来れば、今後も定期的にイベントの開催も可能になると思います。
▼TUJウェブストーリー:グローバルeスポーツ:テンプル大学の学生たちが奨学金調達のため、米国フィラデルフィア本校とジャパンキャンパス共同で24時間eスポーツライブイベントを開催しましたhttps://www.tuj.ac.jp/jp/news/2021/05/18/24-hour-esports-fundraiser/
テンプル大学ジャパンキャンパスの魅力
―編集部:TUJでは「真に国際的な」ミッションと「学生ファースト」の理念を打ち出されていますが、それはどのような想いが込められているのでしょうか。
テンプル大学は、ペンシルベニア州の州立大学なのですが、1982年に日本にキャンパスを作ろうという言うこと自体が素晴らしいことですよね。アメリカの教育を日本に持ってきて、伝えることが出来れば日本の社会に役に立つ、と考えてやってきたからだと思います。2006年に学生のビザ発給について日本政府に交渉をしたことがありました。私が学生の時に取ったビザでは最大半年、更新も1回までのなどの制限があり、それ以上滞在が出来なかったんです。それをTUJとして学生ビザの発行が出来るようになり、多くの外国人学生がジャパンキャンパスに短期留学から編入学までできるようになりました。これまで40年近く運営出来てきたのは、授業の質の高さもあると思います。多くの学生が入学し、それを知ることによってさらに選ばれてきたということですよね。TUJは教員、学生もいろんな国からきていて、アメリカの大学の学位を取ることが出来て、アメリカの大学を卒業したということになるわけです。しかも、日本から離れずに、本格的な国際的なアメリカの教育が受けられます。
現在、世の中はグローバル化しました。例えばビジネスでも、アメリカの株が下がれば、日本の株も中国の株もヨーロッパの株にも影響が出ます。製造業でも、日本で製造するのではなくて海外で製造するとか、私たちの生活の中で国際的なことが山ほどあるんですよ。電気製品や食べものもそうですね。私が子どもの頃は、アメリカに日本食レストランは、ほとんどありませんでした。でも今は、たくさんあります。国際的なことを勉強して、外国語も勉強して、国際的な感覚があれば、たくさんの機会が現れてきます。日本の社会により良い形で参加することが出来るわけです。
<TUJ 6つの特徴>
1.日本で入学、卒業できる唯一の「アメリカの総合大学」。留学も自由自在
2.少人数制の「参加型」教育で、創造的・分析的思考力とコミュニケーション力を育てる
3.学生の過半数が約60カ国・地域から集まる国際的なキャンパス
4.100%英語で授業。英語で学び、英語で考え、英語で表現する国際人を創出する
5.充実したサポートサービスと就職支援体制
6.米国大学への進学を割安な費用で提供
今はコロナで入学したくても、留学したくても日本に来られないので、どうなるか心配しているのですが、去年と比較しても夏学期の留学人数は増えています。TUJのことを多くの人に知ってもらえば、さらに学生の数は増えていくと思います。
様々な国籍の学生がTUJに留学する理由はそれぞれだと思いますが、日本で、英語で勉強して、アメリカの大学の卒業資格を取れるというのはとてもメリットが大きいと思います。
例えば、外国籍の人が日本の大学に進学したとしても、アメリカの企業で就職の際、企業が日本の大学のことをよく知らないと評価できませんよね。その点、テンプル大学は、規模ではアメリカで50位に入りますし、THEタイムズ・ハイヤー・エデュケーション世界大学ランキングを見ても日本にある大学では上位4校が東京大学・京都大学・東北大学・東京工業大学と続きますが、テンプル大学は東京工業大学のランキングと同じ301-350に入っています。大学を卒業して自分の国に戻って就職する際に、企業にも評価されやすいので、安心ですよね。テンプル大学は、アメリカのフィラデルフィアとローマ、そして、日本にキャンパスがあります。2年間は日本で学び、2年間はフィラデルフィアなど、キャンパスを変えて学べるという柔軟性もいいところだと思いますよ。日本に興味があって、英語で学べて、アメリカの大学の卒業資格を取れるというところが魅力でもあります。各キャンパスの教員も自分の学生のために、留学の機会を提供することが出来るということもあり、国際的な視点を持っていると思います。ほかの大学に頼るのではなく、自分たちの大学内で提供が出来るという点で安心感もありますよね。
日本に住んでいる人がTUJに編入学することにも多くのメリットがあります。アメリカに留学するとなると、かなりの費用がかかりますが、フィラデルフィア本校と全く同じ資格が取れるのに、TUJの学費はそのほぼ半額で済むんです。日本人が学生ビザでアメリカに留学する場合、アルバイトは出来ない制約もあります。それ以外に、アメリカへ留学すれば、家賃など、それ以外の経費も掛かりますよね。日本国内にあるキャンパスに通うのであれば、アルバイトも可能です。自分の環境を変えず、高いレベルの学習ができます。
―編集部:TUJの魅力を挙げると、どのようなことが挙げられますか?本校よりジャパンキャンパスの方が、国際的だと思います。TUJはアメリカの大学がそのまま日本にある環境なので、授業は全て英語で行われます。日本語が話せない学生もいますが、日本に興味があって日本に来ているので、日本語を勉強しようとしている人も多いです。
あと、テンプル大学自体は、とても大きい大学なんですね。本校には学生は全体で37,000人くらいいます。それに対して、TUJは、学部課程の在籍は1,300人くらいです。1クラスはだいたい20人程度、教室もサイズはさほど大きくなく45人くらいまで入れる程度の部屋のサイズなんです。だから、教員と学生との距離が非常に近いということもあります。教員が学生たちのことが良く分かりますし、学生たちをサポートしやすいんです。私の部屋もいつもドアを開けているんですけど、私は彼らのために学長をやっているので、いつでも学生が入ってこれるようにしています。
今日も学生が仕事の相談に来て、30分くらい2人で話をしていました。学生もとても喜んで帰りましたよ。カフェテリアに様子を見に行った時も、ある学生が嬉しそうに報告をしに来て、世田谷区からの仕事を受けたというような話を聞きました。大きい大学に行くと、ひとりひとり学生のことを分かってあげられないけれど、逆に人数が小規模であるTUJは、私が学生の時にした素晴らしい経験のような経験をさせてあげたいと思っています。教室の学習だけではなくそれが以外の活動もあるので、学生たちが良い想いが出来るよう、経験ができるようにしています。学生たちとの距離感をとても大切にしています。勉強のことや、仕事のことも、話を聞くことで私の経験を伝えてあげられるんですね。
私は実は大学のバスケットボールのクラブに入っていて、一緒にバスケットをした学生のひとりが、今、フィラデルフィアに戻っているのですが、ジャパンキャンパスで過ごした期間がとても素晴らしかったと言っていて、今後、大学院に行ってから日本に来るか、どうやったら日本の方に戻ってこれるか、一緒に考えているんですよ。学長と学生が1対1で話す機会のある大学はあまりないと思いますし、学生たちを成功させるために、この仕事をやっているので、学生ファーストで考えて、そのように向き合っています。
―編集部:これから大学選びをする学生の方や、国際的なことを学びたいと考えている日本の学生の方へメッセージをお願いします。
国際的な経験を日本で出来るということは、非常に有意義だと思います。私自身が体験したようにTUJでの学びをおすすめします。日本人が約40%、アメリカ人が約40%、残り約20%は、約60ヶ国から留学してきています。そのような環境が日本国内にあり、簡単に米国大学で学ぶことができます。英語で授業を受けて、そのコミュニケーションが取れるようになれば、どんな仕事でも出来るようになります。さらに多くのTUJの卒業生が社会に出て活躍してくれるようになると思います。
学長、貴重なお話をありがとうございました。大変気さくにお話しいただき、普段から学生さんとお話しされている様子が感じられました。どんどんTUJの入学希望者が増えてきているとのこと、更に学長による新しい取り組みにも注目です。日本で40年近い歴史を持つ大学での国際的な学習環境は、大変価値の高いものだと感じました。海外に実際に行く留学も素晴らしいですが、国内で海外大学への留学が出来るテンプル大学、是非、皆さんもチェックしてみてください。社会でグローバルに活躍したいと願う学生の方に、「真に国際的な」学びにチャレンジしていただきたいと思いました!次回は、副学長にもお話を伺いたいと思います。
メガスタプラス編集部