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2021.5.22

2021年から中学校でも必修化!新しい学びの領域『プログラミング教育』その課題とは?

こんにちは、メガスタプラス編集部です。

プログラミング教育は、文部科学省「学習指導要領」改定の一環として、中学校では2021年度から、必修化されることになりました。小学校では2020年度から、高等学校では2020年度からの実施が始まっています。まさに、新しい「学び」がスタートしました。

大学入試にもなる予定の「情報」科目、小学校・中学校・高校で導入されたプログラミング教育について、ポイントをチェックしておきましょう。

<文部科学省による学習指導要領Youtube動画解説>
https://www.youtube.com/watch?v=1F4vye6XSTw

どんな職業でも必要なスキルに
仕組みを知ること、理解すること
テクノロジーの活用は必須


コンピュータを使いこなすために、その仕組みを知る必要があります。コンピュータは人間からの命令に従って動作します。この命令が「プログラミング」であり、プログラミングすることで、人間では時間のかかる作業も正確に早く処理が出来るようになるなど、コンピュータをより主体的に活用することができます。また、プログラミング能力を鍛えていくことで、社会をよりよいものに変えていくポテンシャルが期待できます。

インターネットをはじめ、これからの社会ではさらに技術革新は進み、どんな課題解決に取り組むにしても、価値を創造するためにコンピュータ等のテクノロジーを駆使することが欠かせません。コンピュータやテクノロジーは、「こうしたい」というような「動機」を持ちません。『安心安全で、暮らしやすい地域や社会にしたい』と願うのは、コンピュータやテクノロジーではなく、人間です。「社会課題」に対応するのは私たち大人であり、子どもたちは社会の未来を担う人材です。

また、プログラミングを学ぶことは、論理的な思考力を身につけて、問題解決能力を高める>ことも目的です。複雑化していく社会の中で生き抜いていくために、順序だてて考える力が求められていくと言えるでしょう。さらに、複雑な現代の課題に対応するためには、多くの人とのコミュニケーションや相互理解、協力が必要になります。多様なバッググラウンドを持つ人々とのやりとりの面においても、テクノロジーに関する知識が必要となります。

このような背景をもとに、プログラミング教育が導入されました。

大学入試に「情報」導入決定
将来的なIT人材不足
就職時にも役に立つスキルに


2021年3月24日大学入試センターは、2025年1月の大学共通テストから新教科としてプログラミングを含む「情報」を出題すると発表しました。高校の新学習指導要領を踏まえ、現行の6教科30科目から、情報を加えた7教科21科目にスリム化する方針が盛り込まれています。

■大学入試センター「平成30年告示高等学校学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目について」よりhttps://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou.html

デジタル化が進み、プログラミングの学習時間を増やす国が世界的に増えています。そんな中、日本のIT教育は立ち遅れていて、IT人材の不足が深刻化しているのです。そこで今回のプログラミング教育必修化を、ITに親しみ抵抗感なく取り組める人材の育成に役立て、さらなるIT化に対応していくのが一つの目的です。IT業界では、実力主義な会社も多数。年齢や学歴に関係なくスキルさえあれば良い待遇・給与で働くことができるなど、人気の業界となっています。就職の選択肢を広げる目的でプログラミングを習わせる保護者も多くなっています。

■経済産業省『IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果』よりhttps://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf

どんなことを学ぶの?
小学校・中学校・高校
プログラミング教育


文部科学省によれば、プログラミング教育の目的は、「プログラミング的思考」を育成することにあります。そもそも、プログラミング教育の本来の目的は、コンピュータを動かす際に必要となるコードを書けるようにしたり、プログラミング言語を学んで、実際にプログラミングすることを目的としたものではありません。

<文部科学省サイト>
▼小学校プログラミング教育
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1375607.htm
▼中学校技術・家庭科(技術分野)内容「D 情報の技術」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00617.html
▼高等学校情報科(各学科に共通する教科)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416746.htm

【小学校では「プログラミング的思考」を養う】
小学校でのプログラミング学習の主な目的は「プログラミング的思考」を養うことです。目的を実現するための順序や具体的な作業を論理的に考える力を習得します。多くの小学校ではコンピュータを使用せず学習する方法も実施されています。例えば、行動が掛かれているカードを使って、目的を達成するためにはどの順番で行動すればいいか並べ替える、というようなものです。これは「アンプラグド」というコンピュータを使わずにカード等を使用してプログラミング的思考を学ぶもので、パソコン初心者やコンピュータやタブレット等のデバイスがない環境でも手軽に実施できます。

基本的に、プログラミング教育をどのような形態で授業に取り入れるかは学校ごとの判断に任されており、学校ごとに授業の内容はさまざまです。

【中学校では「ネットワーク」に重点が置かれる】
2021年度からは小学校におけるプログラミング教育の成果を生かし、発展させるという視点から、従来のようにソフトウェアを活用するだけでなく、複数の情報を用いてプログラミングを行う学習も行います。特に、ネットワークを用いた双方向的なコンテンツプログラミングに重きが置かれ、具体的な課題解決の手段を学ぶカリキュラムとなっています。また、情報セキュリティ等についても充実しています。

【高校では「情報技術を活用した問題解決力」を養う】
新学習指導要領では、高校のプログラミング教育に関する内容も大幅に改訂されています。改訂された主な内容は、必修科目の新設と選択科目の構成です。2022年から「情報 I」が新設され、共通必修科目となります。改訂前は「社会と情報」と「情報の科学」のいずれかであった選択科目が、改訂後は「情報Ⅱ」のみとなりました。

【情報I】主にプログラミングやネットワーク、情報デザイン、情報セキュリティに関する基本的な知識を学び、目的に応じたコンピュータを活用や、データ活用や表現力を養います。

【情報Ⅱ】課題の解決策を導くデータサイエンスの手法を取り入れた情報精査の力を養い、情報システムを活用した実際の活用につながる力を身に付けます。

新設された情報科の授業で重要と考えられているのは、小学校や中学校と同様、プログラミングスキルの習得ではありません。プログラミングスキルの向上につながるような実践的な授業は行いますが、体験学習を通して情報技術を活用した問題解決力を養うことを重視しています。

新しい試みの学習領域
プログラミング教育
学習環境の問題と課題


新学習指導要領におけるプログラミング教育の拡充は、将来必要となる資質や能力を高める機会を得られるメリットの多い改訂です。しかし、プログラミング教育の本格化は新しい試みであり、いくつかの課題も指摘されています。

課題1 【教員の知識のばらつき、教員の学びも必要に】
教員のプログラミングに関する知識不足も懸念されています。プログラミングを学んでいない教員が授業を行わなければならない可能性も予測されています。

特に、データサイエンスやプログラミングに関する領域まで指導が必要な高等学校での「情報」科目について文部化科学省は教員の確保の面で通知しています。『高等学校教諭普通・特別免許状(情報)を保有しているものの、現在、共通教科情報科以外を担当している教員が約6,000人いる等の結果となりました。(文部科学省サイトより一部抜粋、中省略)免許保有者の計画的な採用・配置現職教員の同免許状取得の促進など計画的な免許状保有率向上の取組を進め、共通教科情報科担当教員の専門性向上に努めていただくようお願いします。』と通知を出しています。(下線、編集部による)

■文部科学省サイト 高等学校情報科担当教員の専門性向上及び採用・配置の促進について(通知)より
 https://www.mext.go.jp/content/000102780.pdf)

課題2 【準備時間の確保が出来ない、準備が整わない】
教育現場では、学習環境をきちんと整えるための準備時間が十分に確保できず、設備導入の遅れが生じるなどして困惑しているところもあります。学校によっては、一からカリキュラムを組んだり、授業内容に適した教材選びをしたりもしなければなりません。小学校では、ほかの科目にも「プログラミング教育」を取り入れる作業が必要で、コンテンツ準備や指導準備なども含め、短時間での対応は難しいのが実情です。

課題3 【予算は学校ごと、設備や環境に差が出る懸念】
プログラミング教育は新たな試みになるため、学校として予算を確保して取り組む必要があります。プログラミング教育を実施するためにはデバイスや教材を用意したり、新しくネットワーク環境を整備するなど多くの準備が必要です。購入・設置・設定・維持費と加算される費用負担は増える傾向にあり、環境整備のための予算が満足に取れない学校では、内容を充実させられない学校もあると予想されています。

課題4 【中学校の学習に小学校での履修状況が影響】
複数の小学校から集まる中学校での授業カリキュラムをどのようにするか、知識量が違う子どもたちへの教育方法も課題になっています。また、中学校でプログラミング教育のレベルが上がった時に、小学校の学習内容によってはついていけないことが起こります。小学校からの学習履歴と履修状況の引継ぎも課題と捉えられています。

課題5 【セキュリティ面、リテラシーに関する学習も必要】
コンピューターウイルスやフィッシング詐欺、SNSを活用したトラブルなど多く発生していることを懸念して、USBの接続禁止などを定めている市区町村もあります。利用ルールを作り、セキュリティに対する意識を高めることも必要ですが、制限によりプログラミング教育の障壁となる場合もあると考えられています。

まとめ


いかがでしたか?いよいよ開始したプログラミング教育、まだまだ課題も多くある状況ですが、世界的に見るとIT教育自体に遅れを取っている日本でもようやく本格的な学習カリキュラムが加わり、指導が開始したことは、前進と言えるのではないでしょうか。

またプログラミング教育の本格化は新しい試みのため、開始からしばらくは多少の混乱も予想されます。余裕をもって対応できるように、準備を進めていきたいところですね。家庭でも準備をすることは保護者の方にとっても、子どもにとってもメリットがあります。保護者は、自身が学んだことのないプログラミング教育について理解を深められ、子どもは、家庭でもコンピュータやインターネットに触れることで取扱いへの意識を習慣化させることが出来ます。学習環境整備にもつながりますね。

これからの時代を生きる子どもたちにとって、役立つスキルの一つがプログラミングです。課題解決に不可欠となるプログラミング的思考について学習の必要性を理解しておきましょう。私たち大人も、学校教育が変わるこのタイミングを時代の変化と捉え、自身のスキル向上を目指しプログラミング教育に関して興味を持って学ぶことに取り組んでいきたいものですね。

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この記事の執筆者:
メガスタプラス編集部