#教えて先生!『教育イノベータが救う!教育のミライ』デジタルハリウッド大学大学院 佐藤教授に聞く!
2020.11.7
未来の教室ビジョン『学習者中心の学び』 座長代理インタビュー2 ~これからの学習の形~
- 「未来の教室」とEdtech研究会 座長代理、デジタルハリウッド大学大学院教授 佐藤教授が出演されている、「未来の教室」ビジョンについての動画を拝見し、これから必要とされる教育のカタチに関して、お話を伺いました。
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令和元年 6月25日発表の「未来の教室」ビジョン動画
https://www.learning-innovation.go.jp/news/vision-2019/ -
・「未来の教室」とは?
・「未来の教室」ビジョンの位置づけ
・学びのSTEAM化
・学びの自立化・個別最適化
・新しい学びの環境作り
・今後の「未来の教室」に期待すること
経済産業省HP 【「未来の教室」とEdTech研究会-第2次提言】https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/20190625_report.html
― 動画の中で、佐藤先生は「これまで教育の選択肢が実質的に1つしかないと思い込んでいた事が最大の悲劇」とおっしゃいましたが、それはどんなことですか?
私は、教育の選択肢が一つしかないという思い込みが問題だと思っていて、みんなが同じ時間に教室に行って、同じ時間まで話を聞くという方法でしか学べない、という事しか選べなかった過去のやり方を変えていく必要があると思っています。「知識の習得をする」という話でいったら、インターネットに情報が沢山あるわけで、一人一人の曲線に合わせたものを学んだほうが早いと言えます。今は学び方の正解のような万能薬があるわけではないですが、これからみんなで上手に作っていきましょう!という話し合いを始めることは絶対に必要なことなんです。
これからの学習を考えなければいけません。「学習者中心主義」の視点で考えるんです。これまでの最適解は、「学びたい」と思った時に「学校に行って識者(先生)に教えを乞う」というものでした。先生が一人一人を見ることが出来るように、クラスを40人程度に留めて教えるような形態で、発達段階を年齢に合わせて引いていたんですね。でも、本当に「年齢」だけで学ぶ内容に線を引くということで済ませていて良いのか?と思うのです。
― 具体的にはどんなケースがありますか?
例えば、これまでは不登校だと、学習が出来なかったという事があったかもしれません。でも今は違います。学校に通っている、通っていないは関係ありません。オンライン学習で、学校に通わなくても同じような学習が出来るようになってきたからです。東京の大学生とオンラインで全国どこにいても話す機会が選択肢としてあるわけです。テクノロジーをうまく活用して子どもたちに学べと言うのは必然の流れなんです。
現在の子どもたちの状態は多様化しています。小さいころから民間教育に積極的に取り組んでいた子どもと、そうではない子どもの学力習得度は違って当然です。例えば帰国子女が学ぶ内容が、他の生徒と同じなのは適切か?という話です。民間教育が発展している状況や価値観の多様化、グローバル化という側面もありますよね。それぞれに合った内容を学べるようにしていくこと、そこにテクノロジーを活用していく。そして使い方を覚えていくんです。知りたいことや分からないことがあったら、辞典を開きますか?検索しますよね。情報はすでに検索するものだということも、学習環境の変化と言えるんです。
― 今後はどんな思考が「教育」に必要だと思いますか?
今、「アジャイル型の課題解決方法」が世界のトレンドとして注目されています。現代は予測不可能なことが次々と起こる「VUCA時代」、こうすればいいなんて言う答えはありません。私たちみんなに、人口構造や、環境の問題など、今だかつて誰も経験していないことが起きていく未来が待っています。
だから、大人はもちろん子供にも「試行錯誤しながら、新しい答えを見つけて行く力」を身に付けることが必要です。自ら試行錯誤しながら、自ら対話しながら学んでいく。自分で答えを見つけていくことです。国語・理科・算数といったような教科の枠を超えて、自分の学び方や学ぶ時間も、自分で考えて、決められる力です。子どもたちの未来に、本当に必要な能力を身に付ける為に、テクノロジーを取り入れていく必要がある、と話しています。
― どんな風にテクノロジーの取り入れることが有効ですか?
履修主義から習得主義に変えていく必要がある、という点も忘れてはいけません。身に付ける必要があるべきことは、どれだけ学習したかとか取り組んだかではなく、どれだけ習得できたかを図る必要があります。これは個別最適化と同じことを言っています。学習をデジタルで取り組むようになればデータが履歴として残ります。特性や思考を理解して、可視化するためには、一人一人に合わせたカルテのようなものが必要になり、それがあれば、単なる学習の進捗だけではなくて、今の習得状態を理解することも可能になりますよね。そうすれば、この子に必要な学びはこれだとか、これまでよりずっと的確に一人一人に合った教育を提供できます。そして、それらがデータベース化されれば、子どもたちの学習状況の傾向や状況を相対的に見ることも可能になりますから、更に一人一人に合った、必要な学びが提供できるようになる、ということなんです。
これは、子どもたちがどういう状態まで出来るようになったのかという事を見えるようにする為のものであって、競争を煽るのではないという点にも留意することが必要です。スロースターターでも伸びる子供だっているし、決して早い遅いで優劣を決めるのではなく、一人一人の特性を活かす為にテクノロジーを活用していく、と言う視点が大切だと思っています。そういうシステムや新しい技術を用いたサービスを教育で活かそうとしているイノベーターたちが沢山います。私も応援しているんです。
― イノベーションを起こそうと努力しているイノベーター応援について、教えてください。
自分自身もイノベーターとして、Eラーニングの会社を立ち上げた起業家でした。結果から言って失敗したのですが、その経験を大学教授という立場に変わって今に至ります。教育業界は儲からない、変わらないと言われている中、自分が出来なかったことをやっている教育イノベーターたちがいっぱいいて、心から凄いと思ってるんです。チャレンジしている彼らを、純粋に応援するようになりました。話を聞いていたら、非常に崇高な想いを持って取り組んでいるんです。だから、例えばイベント実施してピッチ大会の場で発表する場を作ったりしていることも、「世の中に広めてあげよう」といったことが目的ですね。彼らの夢を拡声器のような形にしてあげるような取組みです。
海外志向の人も応援しています。実際に海外の教育は多様化が進んでいますよね。例えばアメリカ、宗教のこと移民が多いことなど、貧困の問題もあります。日本よりずっと一つの手段で教育をまとめることが難しいから、「同じ教育を行う」ということが出来ません。その事例は参考になるし、実際にテクノロジーを当たり前のように使っています。だからイノベーターを連れて一緒に見に行ったりしていますね。誰だから応援したいとかではなく、私が応援したいと思っているのは、教育を変えたいと思っているすべての人です。
― オンライン家庭教師のメガスタを運営する、私たちに期待することはありますか?
オンライン家庭教師をバンザンが事業展開して、全国の学習者に提供して、充分切り拓いてきていると思います。この事業もテクノロジーがあったから、出来るようになったんですよね。それによって救われている学習者が沢山いると思いますよ。多くの人たちがオンライン家庭教師の指導で助けていますよね。これからも、学習者に指導を届けていただきたいと思っています。もちろん新しい技術もどんどん出てきますから、それらをウォッチしながら取り入れて、活用していっていただきたいと思います。
― 貴重なお話しをありがとうございました。変化に対応していくために、現状を理解することや方向性を知ることも大切だと感じました。私たち オンライン家庭教師のメガスタも進んでいきます。
インタビュー内容は、「未来の教室」が取り組んでいる内容を中心に触れた「デジタル化を教育へ」と、「これからの学習の形」に記事を分けてご紹介しています。
オンライン家庭教師のメガスタが「未来の教室」で取り上げられました
https://www.learning-innovation.go.jp/db/ed0095/
2019年8月 オンライン家庭教師のメガスタに変わりました
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令和元年 6月25日発表の「未来の教室」ビジョン動画
https://www.learning-innovation.go.jp/news/vision-2019/
・「未来の教室」とは?
・「未来の教室」ビジョンの位置づけ
・学びのSTEAM化
・学びの自立化・個別最適化
・新しい学びの環境作り
・今後の「未来の教室」に期待すること
経済産業省HP 【「未来の教室」とEdTech研究会-第2次提言】 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/20190625_report.html
メガスタプラス編集部