教育現場インタビュー#2【後編】 コロナを受けて教育はどう変わる?—インフィニティ国際学院大谷学長に聞く。
2020.12.30
#教えて先生!「新しい学修スタイル」の実践で成果。武蔵野大学 データサイエンス学部【後編】
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こんにちは、メガスタプラス編集部です。滋賀大学・横浜市立大学に続き、2019年4月に武蔵野大学「データサイエンス学部」が開設され、昨年の志願倍率はなんと30倍以上。なぜ、いま、データサイエンティストが注目されているのか?
データサイエンスの将来性も含め、武蔵野大学 データサイエンス学部 学部長 上林憲行(かみばやし・のりゆき)氏に直接お話を伺いました。
「全員が主役」プロジェクト型学修
学生に起きた変化とは?
プロジェクターを4台使って、実際の課題が起きている現場を体験できる編集部:新しい学びのスタイルを実践された成果は出ていますか?
1か月徹底的に行った後に、従来の講義型の学修スタイルに戻しますか?と学生たちに聞きました。答えは全員が「今の実践的な学びの方がいい」と言いました。やらされるのではなく、自分で学びに取り組む。「主体的に学ぶ楽しさ」を感じたんだと思います。講義型の授業では3割くらい寝てしまいますよね。でも、自分たちで進めるこの学修スタイルでは全員が主役なんですよ。お客さんはいません。驚くことにデータサイエンス学部の学生は、平均的な大学生の学習時間をはるかに超えるハードワークを自ら主体的に行っていると言えます。
19世紀型のこれまでの教育スタイルは、先生の話を座って聞いて、理解度テストで成果を図る方法が主流ですが、それは他律性・受動的な教育ですよね。世の中は、自律性があり能動的な人材を求めているのだから、同じように自律性のある能動的に取り組む人材を育成する必要があります。学びの基本様式として、とにかく試行錯誤から学ぶという事を大事にしており、未来創造プロジェクトや、早期インターンシップでの学びもそうですね。プロジェクト型学修が一番手ごたえがありますね。具体的にソーシャル価値やビジネス価値を作り出せるように、実践を重視しています。
目指せ!ハイパフォーマー
スマートクリエイティブ
(左) 武蔵野大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 学科長 中西崇文(なかにし・たかふみ)氏、(中央)武蔵野大学 データサイエンス学部 学部長 上林憲行(かみばやし・のりゆき)氏、(右)大学研究家 山内太地(やまうち・たいじ)氏
編集部:新しい学びは、学生をどんなふうに成長させることが期待できますか?
人物像としては、シリコンバレーのGoogleやFacebookによってパフォーマンスの高い人たちに総称されている「スマートクリエイティブ」のような特徴を備えた人材を育成していきたいと思っています。社会的イノベーションを起こせる人材、技術的にも社会で活かせる人材を育てていきたいですね。
知識面では、新しい知識がなければ新しいことは創造できないので、データ工学と人工知能工学を大学で学びます。これを新しい武器として、自分の解きたい問題を卒業研究で活動するという流れになっています。大きくは情報学を母体にデータ工学+人工知能工学+統計工学が有機的に連動した学際的な学問ですね。
テーマは、自分が関心のある内容を実世界から選んでもらいます。最近はSDGsも含めて社会的な関心を持っている学生も多く、実社会におけるテーマが選ばれていると思います。先生がプログラムやカリキュラムを押し付けるのではなく、自己選択をするという点に重きを置いています。
要チェック!
武蔵野大学 データサイエンス学部
<2019年4月データサイエンス学部開設>最先端の人工知能(AI)に関する知識とスキルを身に付け、さまざまな社会的場面で収集される膨大なデータ(ビッグデータ)を分析し、新たなビジネスを創出する次世代データサイエンティストを育成する学科。
データサイエンティストに求められる3つの能力(創造力、イノベーション力、エンジニアリング力)を学生が身に付けらえるよう履修モデルを用意しており、2年生後半からは目指す進路に必要な専門性を高める履修が行える。3つの専門コース:「AIクリエーションコース」「AIアルゴリズムデザインコース」「ソーシャルイノベーションコース」により、目指す将来イメージに合わせた演習を通して、実践的な力を身に付けます。
武蔵野大学のブランドステートメントは「世界の幸せをカタチにする。」
多くの大学に先駆けて、データサイエンス基礎を全学部の1年次必修科目にしている。多くの分野でAIが活用されていく未来に、役立つ武器を身に付けられるカリキュラムが用意されている。
<高校生向けイベント『MUDS高校生データサイエンスONLINEセミナー』>
データサイエンス学部では、入学したらどんなことが出来るのか?実際に学部生が取り組んでいるプロジェクトの話をリアルタイムで聞くことの出来る『MUDS高校生データサイエンスONLINEセミナー』を定期開催しています。2020年の開催は12月21日で最後となりましたが、来年以降も継続して開催していく予定です。
武蔵野大学イベントページをチェック!
<社会人向け『データサイエンス研究科(修士課程)』2021年4月、開設>
急速な技術革新を受け入れるグローバルかつ複雑な社会において、データサイエンティスト、AIクリエータ、ビジネスクリエータの育成は急務です。このような社会情勢において、求められる力は「研究し続ける力」です。物事の本質を捉え、時代を超える普遍性を追求し、価値創造をし続けるためには、データサイエンス研究の場にいまひとたび身を置くことは大きな意味があると考えます。このような社会からの強い要望に応え、武蔵野大学は令和3年度にデータサイエンス研究科(修士課程)を開設します。
データサイエンス研究科をチェック!
学内にあるおしゃれなカフェ「LOHAS CAFE」。一般利用もできます。
編集部:なるほど、データサイエンスはこれからの時代に必要な分野だという事が良く分かりました。実際に未来創造プロジェクトの見学時に学生さんに話しかけたところ、「実践的な学びが多く、この大学を選んでよかった。」と笑顔で話していました。自分が主役で、能動的に学びに取り組む。学ぶことは楽しいことだと、大人にも伝えていく必要があると感じました。また、生徒さんの成長の軌跡なども取材させて頂きたいと思います。学生さんの成長が楽しみです!
上林学部長、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
メガスタプラス編集部